以前、田舎の実家の父親に買うたったPCの調子が良くないという話を時々聞くようになっていた。3,4年前に買った、Core2Duoの3GHzくらいのWindows XPマシン*1。動作が遅くなってきたとか、ブルースクリーンが出るとか。
まあ、手をかけてメンテナンスすれば問題は解決するような気もするが、XPのサポートも終わることだし、新たにOSや追加ハードウェアを買ったりするくらいなら、いっそ機械ごと新調しちゃったほうが手間もかかんないしコスト的に安上がり、ということで、DELLで第3世代Core i3のマシンを購入した。いろいろ割引使って、本体のみで4万円くらい。やっす。
最優先の目的は、「『大戦略』が完全に動作すること」。
「大戦略」*2はほとんど父親のライフワークと化しており、これが動かないとなると生き甲斐を無くして一気におかしくなりそうな心配が。それを回避するためには、なんとしてもこれだけは動く環境を用意する必要がある。
そのため、OSはXPモードが使えることと、XPの32bit資産を移行しやすいことからWindows 7 Professionalの32bit版に。たかが大戦略のために、と言うなかれ。これは父親のQOLの問題なのだ。
そのマシンが到着した、ということで、セッティングと環境の移行のために土日を使って現地に赴くことになった。もちろん、Windowsなんぞのお世話のためだけに土日を潰した、という認識は精神衛生上よろしくないので、以前同様に無理やり旅行に仕立て上げる仕掛け付きで。そんな目論見で、きっぷは、土日の2日間JR東日本の宮城山形あたりまで乗りまくれる、ウィークエンドパスを使用。
朝、4:30起きで始発に乗って…というつもりだったが、案の定二度寝して1時間ほど出遅れた。まずは宇都宮線→高崎線の在来線で高崎まで。そこからは本数が非常に限られることを学習していたので、無理せず新幹線で長岡まで*3。なんとか、10時すぎには実家に到着。
挨拶もそこそこに、マシンを箱から出してネットワークに接続できる程度までセッティング。移行ツールを使って前のマシンからデータ類を吸い上げて、一息。
その後、常用している古いソフトをインストールしていったわけだが、これが案外ちゃんと動くんでちょっと感心した。懸案の「大戦略」もどうやら動く感じ。XPモード要らんかった…。
メール、ブラウザ等のネット環境をやっつけて、外部機器まわりを整備して、さらに操作系の調整をやって、ついでに母親のiPadとのiCloud連携も設定し*4、おおむねカタがついたのは17時過ぎ。急いで実家を辞して、旅行モードへと移行したのだった。
さて、この時期、Windows 8にせず、Windows 7へと移行させたわけだが、お年寄りにそれまでずっと使ってきたXPから(少なくとも現状の)8へ移行させるのは、まず不可能と踏んでのこと。
あの、Metroの世界とデスクトップの世界が全画面的に切り替わるのはまずい。たぶん、何が起きたのか把握できないと思われる。さらに、「あなたが操作できるものはすべて目に見える形でそこにある」というGUIの原則を大胆にもぶっちぎったおかげで、「ほんとに困ってもスタートボタンさえ押せばなんとかなる」という拠り所さえ奪われちゃったわけで、これは途方にくれることになるんじゃないか。実際、7のスタートボタンですら、「これがスタートボタンです」って説明してギリギリ理解してもらえた感じだったので、これはほんとに無理だったんだと思う。
どうすんだろうね、8は。ほんとに。慣れることのできる人ばっかりじゃないぞ。
旅行モードへ移行後の行程は、(1)に続く。
長岡から向かう方向としては、列車で移動する現実的な選択肢としては、北か南かの2択。もう17時を過ぎていることを考えると、今晩中にたどり着けるのは福島か長野というあたり。
このへんは前日にある程度リサーチしてあって、福島は最近行ってるし、泊まるところもだいぶ埋まっちゃってる感じなのに対して、長野は久しぶりだし、まだ泊まれる感じ。ということで、ほぼ自動的に長野方面に決定。
直江津まで行く、快速くびき野*1ってのが18時頃にあったので、これでひとまず直江津へ。1時間ほどの待ち合わせののち、そこから普通列車で長野まで行く、というプラン。
1時間の待ち合わせ中に、何か夕飯的なものを、と考えていたのだが、駅周辺で開いてるお店は飲み屋さんばっかりでなあ…(´・ω・`)
長野に着いたらなんとかすることにして、ここは新潟の誇るブルボンのホワイトロリータを自販機で購入。
長野に着いたのは21:30。
簡単に信州味噌ラメーン食ったりスタバでお茶した後、電車の中でiPhoneで予約しておいたホテルへ。
…あれ、このホテル、初めて来たはずなのに…。デジャヴュ?
ここを選んだのは、駅からすぐなのに最上階に展望風呂&屋上に露天風呂があるというステキスポットだったので。うわー、長野駅上から丸見え。新幹線も停まっとる。これはステキ。
…あれ、こんな風呂入ったことが…。これは何? 前世の記憶?
「?」を頭の周囲で回転させつつも、くたびれていたのでとりあえずこの日は営業終了。
*1 特急券や急行券なくてもウィークエンドパスで乗れる速い列車は貴重。
8:00くらいに起床。MacBookとiPhoneでざっくり計画をたてて9時にはチェックアウト。長野には何度か来てるはずだけれど、善光寺にちゃんと行ったことがないので、まあここはひとつ素直に行っとくか、と。
長野駅から権堂まで、長野電鉄の地下鉄で。いや、これ、駅から電車からいい感じに古びてて雰囲気あるわー。夜に駅に独りぼっちにされたら泣くレベル。ステキ。
そこからアーケード街を通って善光寺の参道へ。どこの街も中心街はいろいろと大変そうだな…。参道はさすがに観光客向けのお店で賑やかだけど、地元の人は郊外のモールとかに行っちゃうのかね。
時間が微妙に早いのでお店はまだ準備中のところが多く、街を眺めつつもすんなり善光寺に到着。
山門の特別拝観実施中、ということで、景色を期待して登らせてもらいましたよ。いや、びっくり。壁という壁が江戸時代〜近代の落書きだらけ。むしろそういうところに面白味を感じてしまうので、ついいちいち読んでしまう。「どこどこの何とかいう講で来ますた!」とか、「今だ御利益ゲトー!」とか、昔のひとも今とそう変わらない。ここは伊勢同様、宗教テーマパーク的な観光地だったわけで、盛り上がっちゃった田舎者はこういうメンタリティよねw
眺望は、さすがにいい感じですた。iPhone5のパノラマ撮影で、ぐいーっと。
そして本堂。豪華。荘厳、というよりは、もうちょっと陽性でほんのり下世話な感じ。大乗仏教的に正しい。何気なく置いてある調度品だとか、でっかい時計とか、そういうとこが気になったりとか。
でまあ、せっかくなのでやってきましたよ、お戒壇巡り。本尊の下辺りの床下、真っ暗でまったく前が見えない通路に潜って、極楽の錠前を手探りで探して現世に戻ってくる、という趣旨。昔の人はどういう感じでエンジョイされたのか想像すると楽しい。
一応ちゃんと錠前がちゃがちゃしてきたので、これで極楽行けるよね。
境内をあちこち探索し、「迷子郵便供養塔」*1なるものを発見して、インターネットのスキマで電子の藻屑と化したロストメールの供養の必要性に思いをはせるなど。
この手のスポットでのお約束として、仏教アイテムを授かったり、茶屋で甘酒&蕎麦団子を所望したり、参道のお店で味噌ソフトを食ったりとかいうイベントもきちんとこなしてまいりましたよ。
市の中心部のほうで蕎麦*2食ったり、スタバでお茶したり(またか)しつつ街をぶらぶらしたのち、おやきを買い込んで軽井沢行きの電車に。
途中、小諸とか適当なところで降りて温泉でも入っていくつもりだったのだが、思わず爆睡してしまい、気がついたらもう軽井沢近くだったという。
長野行き新幹線ができたときに、信越本線(現第三セクターしなの線)の軽井沢−横川間はぶっちぎられて、新幹線だけになってしまったので、必然的に電車の終点は軽井沢ということに。
全然知らなかったんだけど、軽井沢駅の南側って、いま物凄いでかいモール、軽井沢プリンスショッピングプラザができてんのね。ちょっと広すぎて、一日かけてなんとかまわれるくらいな感じ。しかもまあ、お客が多い多い。1/3くらい眺めて、もうごちそうさまっていう気分に。
中央の広大な広場を囲んで店舗がある構造になっているので、その芝生広場で一休み。こういうとこがいいのに、意外に人が来ない。まあ、ショッピングに来てるんだからな。
ここから先、仕方がないので新幹線に乗って*3高崎まで行くつもりだったけれど、調べてみると横川までバスがある。¥500でリーズナブルだし、列車ばかりでも飽きるのでそっちにコース変更。
時間までは、旧軽井沢駅舎記念館に入ってみたり。ここはオヌヌメ。¥200でリーズナブルだし、人がいないのでとても静か。2階の貴賓室(レプリカ)では、豪華な椅子に座って自画撮りとかもできちゃうんだぜ。鉄の人向けの貴重な資料もあるので、その筋の人はそっちも楽しめるのでは。
16:19発のバスで、横川駅までは30分ほど。出る頃には傾きかけていた日差しも、横川についたあたりではずいぶん暗くなってしまっていた。その間寝てたのでどんな道だったかはよく知らない。
横川駅では、駅前に釜飯のおぎのやさんの食堂や販売所が。食べていくつもりもちょっとあったんだけれど、あいにく本日分は売り切れとのこと。昔はホームでも売ってたはずだけど、特急列車とかも通らないわけで、もうやってない感じ。残念残念。ただ、ホームのうどん・そばコーナーはおぎのやさんの経営だった模様。よく見なかったけど、釜飯も売ってたのかも。
信越本線で高崎まで。高崎からは高崎線の埼玉まわりと両毛線の群馬まわりのどっちで行こうかと悩んだあげく、電車がすぐ来たので流れ的に両毛線に。その乗った電車が前橋止まりだったので、ここはひとつ、以前来たときに行ってなかなか良かった、前橋駅そばの温泉でシメ、ということに。
群馬はあんまりいいイメージないけど、ここは評価せざるを得ない。あまりゆっくりはしていけなかったものの、いいお湯ですた。
あとは、ひたすら電車に乗って自宅まで。お疲れ様でした。
後で気がついたんだが、長野で泊まったホテル、確かに以前に泊まっていたんだわ。1997年だから、もう15年前。宇都宮から松代を経て長野で一泊したとき、ここだったんだ。昔の日記を検索して、ようやく思い出した。
当時はPowerBook Duo280c背負って、書籍のホテルガイド見ながらPHSで電話かけて予約取ったらしいので、なんというか隔世の感はある。
ちなみに、その時の旅行というのが、そこからさらに箱根やら強羅やらに行く強行軍で、このへんでもうピンと来られた向きも多いかと思うが、要はエヴァ(TV版)ゆかりの地を巡礼していたという黒歴史 orz
だから記憶から抹消されていたのか…。
今日も今日とてSF者は積んであるSFの山に埋もれるまいと無駄なあがきを繰り返すわけだが、そんなヲレの今日のあがきは大森望・日下三蔵編『年間日本SF傑作選 拡張幻想』。
この中で、強い印象を得た一篇が、川上弘美の「神様 2011」だった。日常・非日常がフラットなその世界観に、3.11以降の世界の変容という現実が鋭く食い込むくさびのよう。加筆・修正前の「神様」と併せて読みたい、今読みたい、と願ってしまったヲレに囁く誰かの声。
「旦那、Kindleなら今すぐお読みになれますぜ。」
ひどい。人の足元を見やがってとかぶつぶつ言いながらもいそいそとAmazonにアクセスして検索すると、残念ながら「神様」と「神様 2011」が収録された単行本はまだKindle化されておらず。オリジナル版の『神様』も、まだ。唯一、芥川賞受賞作である『蛇を踏む』だけがKindle化されていたので、これはまあ何かの縁だろうということで、1-Click™で購入。¥368。リーズナブル。これは危険な値づけ。
とりあえず、表題作の「蛇を踏む」だけ。
ああ、これはいい。SFではないけれど、これはいい感じの小説。妙に触覚が喚起される。いろんな触覚が。あと世界の中のライティングが、どのシーンでも茫洋として頼りない中、主人公と蛇のまわりだけ激しい光を帯びるところが。
残りの2編も楽しみです。
実は、Kindleで日本語の小説を買うのはこれがはじめて。マンガは荒川弘の『百姓貴族』を買っているけど、それとはまた違う読書感だなあ。
「新しかったiPad」のRetinaディスプレイだと、やっぱりフォント綺麗。これなら十分読める。というか、読むこと自体、目が喜ぶというか。
もちろん、Kindleの「すぐに」「割と安価に」「クラウドベースの」本が買えちゃうという体験自体はもう素晴らしくて、本読みは廃人一直線ルートが約束されていて恐ろしい限りであります。
来週はKindle Paperwhiteも届く予定で、これはもう楽しみで辛抱たまらん。目がつぶれるほどSFが読みたい。Kindleで。
GOING 1年半ぶりのアルバム。一度完成したのを没にして、ツアー*1を挟んで現在位置を確認しつつ、再構成&新曲追加で完成度を高め満を持しての発売となった。
前作『稲川くん』(うちのエントリーその1、その2)は評価が難しいアルバムで、アンチクライマックスな、シンプルで(あえて言うなら)身もふたもないロックに従来からのファンを戸惑わせてくれたわけだが、結論から言えば今回は期待以上の出来。
全体を通して、過去への視線が感じられるんだけれど、それはもうきちんと対象化できた過去であって、そこに耽溺したり拘泥したりする風ではない。今を生きる、気持ちのいい大人*2のありかたを、彼らは見つけることができたんだろうか。
音楽的にもずいぶん幅が。いわゆるGOING的な疾走感のあるギタポ曲もしっかりおさえつつ、ポニキャニ移籍後の骨太ロック路線の「1998〜土曜日の夜、日曜日の朝〜」もありのの、「刹那」のようなエレクトロニカ風味のシティポップも。「9th Route」は今までありそうでなかった、素生と丈さんの一体となったツインボーカル。こんないろんなことができるバンドだったんだ。いや、そういうバンドになったのか。可能性が広がっていく、わくわく感。
素生のボーカルが、これまでよりずっと巧くなってることにも注目すべき。インディーズの頃の「おかあさんのご飯を食ってる」*3少年の一生懸命なボーカル。メジャー後の「胸キュン」な優しい声。おやモンあたりからの、ちょっと気取った節回し*4。移籍後の激しめでやや硬質な感じ。その全部をひっくるめた上で、安定感も表現力も向上してる感じ。なんかトレーニングした?(タモリ調) ずっとライブもやってたしレコーディングもしてたし、実地で鍛えられたのかしら。聴きやすいし聴いていて気持ちがいい。ボーカルの点ではこれまでのベスト。
とにかく、いろんなことが遂にクリアになった。宇宙の晴れ上がり的エポックメイキングな快作ですよこれ。
iTunes Storeでは、こちらから。
追記。
大事なことを書き忘れていた。
こんな渾身のアルバムのど真ん中に、「ナカザのディスコ★」。「ディスコ」か!w そしてまた「★」か!w いや、もうこのエリアは治外法権だわ。許す許す。
観ました。
うわあああああああああああ。
なにこれすげえすげえ。
「破」で「#19 男の闘い」までをものすごい肯定的に、かっこよく、エンタテインメントの法則にきっちり則って描いて見せていたから、ああこれはこういう方向でお客さんを気持ちよくするのが今回のテーマなのかー、と、若干鼻白みつつも楽しませてもらっていたわけだが、ここに来てこれか!
「行きなさい! シンジくん!」*1とか言っといてこれか!
ここは敢えてヲレは言おう。
「行きなさい! アンノくん! あなた自身の願いのために!」
今まで観たこともないものを、どこまで見せてくれるか、がぜん楽しみになってきた!!! いいぞもっとやれwww
*1 今この言葉でぐぐるとえらいことにwww
来ました。
ああ。ちっちゃい。軽い。チープで素敵。ヲレはこういう、ちっちゃくて軽くてチープで適材適所なデバイスがだあい好きなんだw
とりあえず箇条書きで:
用途は文庫本の代わり。クラウドが主役であって、とにかくチープなハードウェアなんだから、傷とか気にせず気軽に持ち歩いてどこでも読むとよろしい。という割り切った使い方をするといいのかなーと思った。
とはいえ、カバンの中でディスプレイが割れるのは切ないものがあるので、画面保護くらいはやっときたい。iPadのSmart Coverは本当に素晴らしいので、ああいうのがいいんだけど、邪魔にならなくてかっちり着いて見た目も良い、ってカバーは、まだもうちょっと待たないと出てこないかなあ。
*1 その意味で、ブラウザを「体験版」扱いにしたのはむべなるかな。
_ JunT [Kindle Paperwhite来週届くのか。いいなぁ。 私はiPad miniとNexus 7とで迷って実物見..]
_ Yoz. [んー、ちゃんと来週届けばいいけど、Konozamaパターンも依然として…。 で、絶版本とか品切れ本については、..]