『NOVA 6』と共に未読のままデイパックに入りっぱなしだった『NOVA 7』も、帰郷というイベントのおかげもあってあっさり読了。今巻はひっかかることなくすんなり読めた。
別にSFというジャンルにこだわるわけではないけれど、非SFな作品が目立った『NOVA 6』に対して『NOVA 7』の振れ幅は少なめでSFのかほりは十分に。
今巻の個人的ベストは壁井ユカコ「ヒツギとイオリ」。痛みを知らない少年が痛みを知ったときの涙には弱いのう。それを比喩でなく、文字通り痛みを知らない少年を据えて、物語を転がすことができるのがSFの醍醐味。ジュブナイルとしても秀逸。
宮内悠介「スペース地獄篇」、小川一水「コズミックロマンスカルテット with E」、北野勇作「社内肝試し大会に関するメモ」も良かった。このへんはもう危なげなく楽しませてくれる。
惜しかったのは、片瀬二郎「サムライ・ポテト」。せっかくいい素材なのに、展開にちぐはぐなところが。子供の虐待の件を軸にしていくのかと思ってたので、肩透かしを食ってしまった。谷甲州の「灼熱のヴィーナス」も導入部だけ見せられた感じで欲求が不満する。
これでデイパックが文庫本2冊分軽くなった。残るは『NOVA 8』だ(9が出るまでは)。