神なき地に、ついに神が降臨。日常に魔法が流れ込んで行く中、仁とメイゼルときずなが逃れようのない罠に追い込まれていく、どん底の展開。そして、ラストの決定的な決別。
あちこちで細かい伏線が回収されていくけれど、何もかもすっきり説明されるわけでもないのでちょっとモヤモヤする。
本書の半ばで、いったんは完全に敗北。しかし、その後時間SFのロジックで最終的には(文字通り最終的に)壮絶な結末に至るわけだが…。
長谷さんは優しい人だなあ。登場したオールスターなキャラクタたちに、それぞれ最後の見せ場と救済を用意するとは。寒川さん救出まわりも、少し緊張感が殺がれる印象。お話のテンポを優先するなら、ここはすっとばしても…。でも、これは人間が、人間の意志で人間と繋がっていく話だから、そういう意味ではこのあたりは外せないんだろう。
最後は堂々たる時間SFでシメてくれたと思いきや、やっぱこれはラブストーリーだったんすかね。まあそれはそれでOK。この世界でもっとも過酷で悲惨な運命を背負わされた彼女にも救済が欲しいところだったけど。
13巻、つきあった甲斐があった。これはなかなかの傑作。
これで心置きなく、長谷敏司氏のファンを名乗れるでしょうか。