いや、映画観たかったんだけど、ろくな映画がなかったので、消去法で「スチームボーイ」を観ることにしますた。大友克洋監督作ということで、ちとバクチっぽいところはあったけど。
結論から言うと、まあまあ面白かったんじゃないかと。やたらに不満なところはあるんだけど、圧倒的な作画の力で帳消しになってしまう。大友的映像センスにコンピュータの力を導入すると物凄いことになるのはよーくわかった。人物の回り込みに完璧に追従する背景とか、気が狂ったかのごとく舞い散る紙吹雪とか、ありえない映像に興奮してしまうのはアニヲタくらいですが。
ネタ的には、「ロケッティア」(つーか、ヲレ的にはAmigaのゲームの「ロケットレンジャー」)やら「未来少年コナン」やら「ナディア」やらと激しくカブるところはある。つーか、レトロな時代設定のスチームパンクなオーバーテクノロジーを巡っての科学文明批判ってあたりで、かなり。
この話のオーバーテクノロジーってのは、ぶっちゃけ蒸気機関の世界における無限エネルギーなわけだが、果たして観ている人にその物凄さや驚きが伝わっていたかというと、かなり疑問。ジャイアントロボのシズマドライブくらいのインパクトがあってしかるべきなんだけど、いかんせん蒸気が無限に出るだけの代物なので頑張っても絵的に地味なのが辛いところ。面白い使い方をしてみせる後半の山場は、あっさり宣伝素材でバラされちゃってるしなあ。
んで、登場人物の考えてることが、どいつもこいつもさっぱりわからないというのも問題か。特に主人公の父親と、財団のトップのおっさん。前者はわかりやすく狂ってしまった人なのでまあわからんのも無理はないけれど、後者の目的が今回のやりかたで本当に達成できるのかというと、絶対そんなわけねえだろ、と。せっかくちょっと面白いキャラなのに、惜しい。
あとですな、主人公が結局最後には、乗り越えるべき存在の父親に助けられてしまうのが、最近流行りのアンチ・ビルドゥングスロマンスってやつですカ? 娯楽大作にしたいんだったら、そのへんはお約束でもいいんじゃないかと。少なくともヲレはそーいうカタルシスを期待していたのに。
エンディングクレジットの背後(さっさと席立った人はご愁傷様)でスチームボーイのその後が点描されるわけだが、どうやらこれ以降は苦い物語にならざるを得ない模様。父親に助けられた代償をそこで払ってくれるんなら、ちょっとそれは観てみたいかも。ガソリンや原子力の時代に突入し、ますます暗雲立ちこめる世界に、たった一人、時代遅れのオーバーテクノロジーを頼りに立ち向かうスチームボーイの苦悩、ってのは、かなり燃える設定じゃあないか。
もドゾー。